インスタやTik Tok、ピンタレストなどのSNS上では、日々洗練された収納術が紹介されています。
収納をおしゃれに行うのは現在の流行、というよりも人の多いところではマスクをつけるくらいの、当たり前のことになっているのかもしれません。
この記事を見ているあなたも、収納にはおしゃれな要素もあったほうがいい、と少なからず思っていることでしょう。
片づけるだけの収納をする時代は終わりを告げました。
ですが、SNSで紹介されている収納術を鵜呑みにするのはNG。
一人暮らしの限られた空間で再現できることには限界があります。想像通りの完成形にならないだけでなく、下手をするとかえって不格好な収納となってしまいます。
たとえば……、
- 部屋にまとまりがなくなる
- 素人っぽい印象となる
- ものが使いづらい
そこで今回の記事では、真似をしてはいけない収納事例と合わせて、一人暮らしの狭い部屋で取り入れるための対策についても紹介します。
ローコスト・少ない手間で取り入れることができる対策なので、ラクにおしゃれな空間をつくり上げたい人にも役立つ情報になっています。
見せる収納について
見せる収納は、他人に真似したいと思わせる魅力があることから『魅せる収納』でもあります。
そんな見せる収納にはさまざまなテクニックが詰め込まれているため、そもそも素人が安易に手を出すべきではないというのが正直なところ。
そこで、安易に見せる収納に手を出してはいけない理由と、狭い一人暮らしの部屋で取り入れることができる要素を紹介します。
見せる収納の多くは、見せる『ためだけ』の収納である
雑誌やSNSなどで紹介されている見せる収納は、実用性が伴わない写真映え優先の収納であることが多いです。
ハンガーラックやキッチンなど、写真でみるとすごくおしゃれなので真似したくなる見せる収納。
ちょっと辛口になりますが、あれらは写真用に見繕った実用性のない収納であることがほとんどです。
全部が全部そうではないものの、多くは生活感を醸し出す素材をすべて排除した空間の、もっとも写真映えするカットを切りとっているだけ。
収納に限らず部屋のインテリアを紹介する写真でも、この手法が使われていることが多いです。
また収納されているアイテム自体も、被写体として邪魔にならないものが採用されている場合が多いです。
要するに、生活感を感じないような無機質なアイテムが収納物として選ばれています。
生活感のある日用品は総じて情報量が多く、おしゃれな収納道具を邪魔する要素となってしまうため、写真には写っていないのです。
自宅にある日用品すべてが主役である収納道具を引き立ててこそ、見せる収納が成り立つといっていいでしょう。
そういえば殺虫スプレーの見た目が気に入らず悩んでいた女性が、スプレー缶に巻くエレガントなデザインのラベルを100円ショップで見つけ喜んでいた、というのをインテリア雑誌のインタビューか何かで読みました。
確かに見た目は見せる収納仕様にもなるでしょうし、出しっぱなしでも生活感がなくていいですが、「そこまでする必要ある?」というのがぼくの正直な感想。
使い捨てのものにそこまでコストをかける必要はないですし、いざ殺虫スプレーを使う場面になったとき、他にもラベルを巻いたスプレーがあったらどれがどれやら分かりません。
使いやすさやお金を犠牲にしてまで見せる収納を最優先にするのは、過ごしやすい空間づくりとはかけ離れているので、やめた方がいいでしょう。
- 写真映えのしない素人っぽい収納が出来上がる
- 埃がたまったときの掃除が面倒
- 収納物を見せる収納仕様に改造すると、使いづらさ・無駄遣いの原因になる
見せる収納はそのまま真似をすると、部屋がダサくなってしまうだけでなく、埃をかぶりやすいためきれいな状態の維持にこまめなお手入れが必要 となってしまいます。
おしゃれは我慢といいますが、人に見せるためだけに自分の生活を犠牲にする必要はありません。
自分にとって本当に使いやすいかを考えた上で、見せる収納を採用するか決めましょう。
【対策】『見せる』ではなく、『見えそうで見えない』収納を目指す
狭い部屋でどうしても魅せる収納にこだわりたいのなら、見せる収納っぽい収納にすることで、おしゃれさと使いやすさの両立が叶いやすくなります。
たとえばボックス収納を使うときには、底が深いボックスを選びましょう。
覗き込まなければしっかり中身が見えないので、生活感のあるものが入っていてもダサい収納となりづらいです。
ただし高いところに置く予定の収納ボックスは、半透明のものがおすすめ。
空間に圧迫感が出づらいことも理由のひとつですが、中身が分かるほうが使いやすいからです。
それとぼくが推奨する収納テクニックとして、死角を利用する方法があります。
ぼくの部屋にはテレビのリモコンやティッシュ、消臭スプレーや殺虫スプレー、などなど生活感のあるアイテムが満載です。
これらの生活感あふれる日用品類は、部屋に入ってもすぐには目に入らないような位置に置くようにしています。
死角を利用する方法は他にもあります。
人間は横の視野は180度以上とかなり広いですが、上下の視野は130度ほどと狭いです。
特に上方向は意識していないとなかなか見ることがないので、収納スペースを設けるにはもってこい。
玄関や居室などの扉を開けたすぐ上部、トイレは便座の上部に収納スペースを設けがちですが、突っ張り棒などで収納スペースをつくるなら、入り口のすぐ上が最適解です。
使いやすさと見た目を両立するなら、自分の部屋で使えそうな死角を探して収納スペースとして活用してみてください。
隠す収納について
見せる収納とは逆に、部屋をすっきりした印象にするテクニックとして、隠す収納があります。
定番の方法で初心者でも感覚的に理解しやすい収納方法ですが、やはりこちらにも落とし穴がありました。
そこで、隠す収納でやりがちな間違いと、見た目・使いやすさを両立するために気をつけるべきことを紹介します。
隠す場所が適切でない
片づけたものが取り出しづらい、もしくはどこにあるのか分からない状態だと、隠す収納は利便性の悪い収納となってしまいます。
隠す収納見栄えを気にし過ぎると、使いやすさをないがしろにしてしまいがち。
よく使用する日用品を取り出しづらい場所に片づけてしまい、いちいち取り出すのが面倒になって結局出しっぱなしにしてしまった人がいます。
他には生活感の強い家電である掃除機。居室に出しっぱなしにしているのがどうにも気になっていたところ、クローゼットの端にちょうどいい隙間があったので、すぐさま押し込みました。
数週間後、床の埃が気になったので掃除機をかけようと思いまして「はてどこに置いたっけ?」と黙考。
数秒後(実際には約1分後)、クローゼットの奥地へと押し込んだことを思い出し、その瞬間掃除をしようという気持ちが萎んでいきました。
隠す収納は見せる収納に比べて格段に収納力が上なので、同じ場所にものを脳死で詰め込んでしまうこともある でしょう。
- ごちゃごちゃしすぎてどこに必要なものがあるのか分からない
- 不要なものが溢れて整理するのが困難になる
上記のような問題が発生することがあるので、次に使うことを考えて片づけなくてはなりません。
【対策】よく使うものは手の届きやすい場所に収納する
隠す収納を実践するときは、使用頻度によってどこに収納をするのかを決めておくことが重要となります。
具体的には下記の3パターンで分けるのがおすすめ。
- 毎日使うもの
- 週に1度~月に1度使うもの
- 数か月に1度+不定期に使うもの
※毎日使うものは最後に紹介させてもらいます。
というわけで、まず週に1度~月に1度使うものについて。
こちらは、できるだけ自然な態勢で取り出せる高さに収納場所を設けるのがおすすめです。
掃除機などの比較的大きなものは、取り出すときのことを考えてあまり奥地には収納しないよう気をつけましょう。
サッと使える場所に収納することで、自分に家事をサボる口実を与えない点でもおすすめと言えます。
続いて数か月に1度+不定期に使うものについて。
これらは使用頻度の低いことから、収納場所としては高所、もしくは低所を選択するのがいいでしょう。
限られた収納スペースを適切に運用するのであれば、二等地、三等地の収納スペースも上手に活用しましょう。
最後に毎日使うものですが、個人的には、思い切って出しっぱなしにしてしまうのもアリだと思っています。
具体的には、見せる収納の対策でも紹介した『見えそうで見えない収納』と同じ手法をこちらでも使います。
ぼくが毎日使用するものの代表格はドライヤー。
(2~3万円くらいのそこそこいいドライヤーです。ぼくにとってまぎれもなく必需品)
風呂上りや朝の仕度をする際、壁に立てかけた姿見の前でそのドライヤーを使うのですが、髪のセットが完了したら、姿見の後ろのスペースに忍ばせるようにしています。
コンセントは多少視界に入ってしまうものの、本体は姿見の横から覗き込まないと見えないので、部屋をすっきり見せる効果として十分に機能しています。
毎日2回使うドライヤーを、いちいちコンセントに抜き差しする手間はとてもストレス。いっそのことつなぎっぱなしにしたほうが使いやすいと思いませんか?
よく使う道具は、多少見栄えが悪くても取り出しやすい位置に置いておくのがいいでしょう。
出しっぱなしにすると決めることで、見えそうで見えない収納に特化することだけを考えればいいので、収納の方向性に迷う必要がなくなります。
それでもやはり見栄えにこだわりたいという人も少なくないはず。その場合はせめて手近な場所に収納場所を設けるようにしてください。
以上のことから、隠す収納をするときは、ものを使用頻度ごとに分類して収納場所を設定することが重要です。
収納グッズについて
一人暮らしの狭い部屋には、元から備わっている収納スペースが限られている場合が多いです。そこで活躍してくれるのが収納グッズ。
狭い部屋の救世主となる一方、正しい運用方法を理解しておかないと、部屋を整理するどころかむしろ乱雑さを助長する元凶となることもあるのです。
そこで、収納グッズを利用する上での注意点と、狭い一人暮らしの部屋で利用するときのチェックポイントを紹介します。
便利な収納グッズに頼りすぎない
ものが増えたから収納グッズを新しく買って片づけよう、という考え方はNG。
ニトリや無印などでは、収納のためのグッズがたくさん売られています。
そのほとんどがリーズナブルであり、リビング・キッチン・脱衣所等いろいろな場所で使いやすいデザイン。
だからといって、必要以上の収納グッズを購入する必要はありません。
なぜなら多すぎる収納グッズは、不必要なものを増やす呼び水となりやすいからです。
すぐに使いたいものではないけどそのうち必要になるだろうから、のように「とりあえず買って収納しておけばいい」という意識が強くなってしまいます。
住みやすい部屋をつくるために収納グッズは必須ツールですが、同時に住みづらい部屋をつくる黒幕にもなり得るのです。
- どんどん不要なものが部屋に溜まる
- 小さな無駄遣いを繰り返す
- 必要なものが、必要なときにすぐ使えない
ミニマリストの考え方を持ってください、とまでは言いません。
ですがものが増えると、きれいな状態の維持が困難になり、部屋の住み心地が悪くなる、ということは理解しておいたほうがいいでしょう。
【対策】収納グッズの使用上限を設定する
対策としては、収納グッズを使ってもいい上限を決めておくのがおすすめ。
自分の中で収納グッズの運用ルールを決めておくことで、収納過多になってしまうことを防ぐことができます。
ちなみにぼくは突っ張り棒の収納グッズを使っています。
収納を増やし過ぎないために、ぼくの中で突っ張り棒の収納を設置できる上限数は、
空間の数-1と決めています。
我が家にある空間は、居室と廊下、風呂場にトイレの計4つ。つまり、突っ張り棒の収納を利用していい上限は3つとなります。
100円ショップで売られているクリアケースを収納に使う場合も同様。安くて使い勝手がいいだけに、ついついたくさん買ってしまうのを、自分ルールを設けることで防いでください。
クリアケースは小道具を分類分けしておくのに便利ですが、何度も買い足している人は部屋にものが溢れている状態を認識しましょう。
一人暮らしをしていて「これは必需品!」というものはそこまで多くありません。
ぼくもそれなりに少ないものだけで生活していますが、一日を通して一度も触らないものはけっこう多いです。
つまり収納が必要な状態というのは、不要なものが飽和状態であることを意味しているのです。
現在の収納面積で収まらないものは、素直に処分してください。部屋が乱雑になるのを防げるだけでなく、今後不要な買い物をしなくなるきっかけにもなります。
自分の生活にとって、本当に必要なものだけを整理するために、収納グッズは厳選しましょう。
まとめ
最後に今回の内容のおさらいです。
雑誌・SNSなどの写真は見せるためだけの収納であることがほとんど。
生活感をにじませずに真似しようと思うなら、見えそうで見えない収納で代用すること。
見栄えを気にしてあれこれ収納スペースに詰め込んでいると、使いづらい部屋になってしまいがち。
(また不要なものがどんどん溜まる)
使用頻度ごとにものを収納する場所を明確にする。毎日使うものは思い切って出しっぱなしにすることでストレスが少なくなる。見えそうで見えない収納ができそうなら取り入れるのも可。
収納グッズは便利だが、頼りすぎると不要なものを際限なくため込んでしまう。また部屋がダサくなる。
収納グッズの使用上限を決めておく。それで収まらないものは処分することで部屋が乱雑になるのを防ぎ、浪費癖も改善する。
冒頭にも言いましたが、収納は見た目も大切。しかし使いやすさが備わっていることが大前提だとぼくは思っています。
収納は見た目を気にしてやることではありません。必要なものを必要なときにすぐ取り出せるよう整理するために行うのです。
正しい理由を理解すると、一つひとつの収納方法が人に見せるためではなく、自分にとって使いやすいかが基準になってくるはず。
今回の記事によって、今あなたが暮らしている部屋が、最高に過ごしやすい部屋へと少しでも近づけたら幸いです。
それではまた。
今度こそまた!